西の空に星がまたたき
東の空がぼおっと白くなるころ
ひかりにむかって歩き始める
フクロウの鳴き声を聞きながら
ニワトリの鳴き声を聞きながら
時おり 闇のなかにシーサーをうかびあがらせて
安易に人間が立ち入ってはいけない場所をよこぎって
休んでいる水牛を起こさないように
コウモリのトンネルをぬけて
きのう出会った大切な人
またどこかでと握手で別れた
きっといつか忘れてしまうだろう
きっといつか思い出すだろう
感じるから動く
動くから感じる
それぞれの感じ方
それぞれの動き方
そこから生まれる
それぞれの人生の多様性
やがてゆっくりと
ももいろに染まり始める
ゆるやかに丸みをおびた水平線
一瞬も同じ色でない空と雲と海
ひんやりとした夜
しーんとした朝
ふと思い出す
今はそれぞれの道を歩んでいるひと
今は会うことのできないひと
忘れることのない大切なひと
海はいつのまにか青さをとりもどしている

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